⬇こちらの解説です。
1.15歳の男子。起床時から発熱と咽頭痛があり静養していたが、昼に急激な呼吸困難を訴えたため家族が救急要請した。救急隊到着時観察所見:意識 JCS3。呼吸数 30/分。脈拍 120/分、整。血圧 120/90 mmHg。体温 38.3°C。SpO2値 78%。腹声で呼吸困難を訴え、口唇部にチアノーゼを認め、吸気性の喘鳴を聴取する。
適切な対応はどれか。1つ選べ。
答え 気道確保可能な直近病院を選定する
吸気性喘鳴を聴取するが、上気道異物、気管支異物、仮性クループ、喉頭蓋炎、気管・気管支腫瘍、縦隔腫瘍などである。
吸気性喘鳴や起座呼吸がみられる場合は窒息の危険性があると判断し、専門医療機関あるいは三次救急医療機関への搬送を優先する。
救急救命士標準テキスト10 p.560〜561
2.50歳の男性。3日前から発熱と右肋間痛があった。症状は日々増強し、呼吸困難を伴ったため救急要請した。救急隊到着時観察所見:意識清明。呼吸数 24/分。脈拍 100/分、整。血圧 100/66 mmHg。体温 39.0°C。SpO2値 92%。右肋間痛は深呼吸で増強し、右胸郭運動の減弱がみられ、捻髪音が聴取される。
この傷病者の病態について正しいのはどれか。1つ選べ。
答え 肋間神経が刺激されている
胸膜炎が疑われる。胸膜炎が原因で肋間神経が刺激され痛みを発症する(続発性肋間神経痛)。
救急救命士標準テキスト10 p.565
3.65歳の女性。自宅の修繕のため、数日前から自家用車の中で睡眠をとっていた。起床し車から出たところ、突然の呼吸困難を発症したため夫が救急要請した。救急隊到着時観察所見:意識 JCS2。呼吸数 30/分。脈拍 120/分、整。血圧 90/60 mmHg、SpO2値83%。頸静脈怒張が常にみられ、呼吸音は正常で左右差も認めない。
呼吸困難の原因となる病態で最も考えられるのはどれか。1つ選べ。
答え 肺胞死腔の増加
救急救命士標準テキスト10 p.584〜585
4.救急活動の流れについて正しいのはどれか。1つ選べ。
答え 「消防法」に消防隊員と警察官は互いに協力しなければならないと定められている
「消防法」では消防隊員と警察官は互いに協力をしなければならないこと、救急隊員は救急業務の実施に関して警察官と密接な連絡をとることが定められている。
救急救命士標準テキスト10 p.251
5.「交差点で70歳代の男性がひき逃げされた。声をかけても応答がない。」と通りがかりの男性から緊急通報があった。口頭指導でまず行うのはどれか。1つ選べ。
答え 通報者の安全確認
口頭指導は、傷病者の近くにいる通報者やバイスタンダーなどに対して、①心肺蘇生法、②気道閉塞・異物除去法、③止血法、④熱傷手当、⑤指趾切断手当などの応急手当に関する協力依頼と指導を行うものである。
ただし、救急救命士標準テキスト10 p.246 状況評価にも記載のあるように、安全の確保が第一優先である。二次災害の危険がある場合には危険の排除を優先するよう口頭指導するのがまず第一。
救急救命士標準テキスト10 p.246
6.大雨洪水で浸水した工場の床に社員が倒れているところを発見されて救急要請された。先着隊として救急隊が到着した時には、水に浸かった機械から火花が出ていた。
まず行うべき対応はどれか。1つ選べ。
答え 構内の電源を遮断してもらう
現場活動において、まず優先すべきなのは二次災害の防止だ。
漏電危険のある場合は、危険を排除してから接触する。
救急救命士標準テキスト10 p.246
7.交通事故傷病者(小児)の観察内容を伝えても守秘義務に反しない相手はどれか。1つ選べ。
答え 傷病者の親
「救急救命士は、正当な理由がなく、その業務上知り得た秘密を漏らしてはならない。救急救命士でなくなった後においても、同様とする」(47条)とされている。
しかし、傷病者が未成年者であって、保護責任者である親に情報を話すのは妥当性のある行為と考えられる。
救急救命士標準テキスト10 p.264
8.救急救命処置録について正しいのはどれか。1つ選べ。
答え 処置に過誤があった場合責任の所在を明確にする証拠となる
医療過誤の証拠ともなるため、正確な情報を記載する必要がある。
救急救命士標準テキスト10 p.250〜251
9.救急救命士の役割でないのはどれか。1つ選べ。
答え 病院内心肺蘇生効果の向上
救急救命士は病院前救護が活動の場となる。
救急救命士標準テキスト10 p.261
10.DNAR指示について適切なのはどれか。1つ選べ。
答え アドバンスディレクティブとは事前指示を指す
救急救命士標準テキスト10 p.258
11.非言語的コミュニケーションはどれか。1つ選べ。
答え 目 線
非言語的コミュニケーションとは、顔の表情、顔色、目線、身振り、手振り、身体の姿勢、相手との物理的な距離(対人距離)などをいい、コミュニケーションのなかでもっとも比率が高い重要なコミュニケーションの技法である。
救急救命士標準テキスト10 p.253
12.小児の二次救命処置(PALS)に該当するのはどれか。1つ選べ。
答え 骨髄路確保
救急救命士標準テキスト10 p.427
13.法令と規定されている内容の組合せで正しいのはどれか。1つ選べ。
答え 消防法-医療機関搬送の際に応急の手当てを行うこと
1986年の改正で、救急業務には「傷病者が医師の管理下に置かれるまでの間において、緊急やむを得ないものとして、応急の手当を行うことを含む」ことが明記された。
救急救命士標準テキスト10 p.264〜265
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14.救急救命士法における救急救命処置の位置付けで適切なのはどれか。1つ選べ。
答え 診療の補助
救急救命士が行う救急救命処置は、「保健師助産師看護師法」(保助看法)によって規定されている、看護師の独占業務である「診療の補助」にあたるが、救急救命士法第43条で、保助看法にかかわらず診療の補助として業務とすることができると定められている。
救急救命士標準テキスト10 p.261
15.傷病者に応じた受け入れ医療機関の適切な選定を目的として、平成21年に改正された法律はどれか。1つ選べ。
答え 消防法
2009年には、搬送を担う消防機関と受け入れを行う医療機関との連携を推進することを目的に消防法が改正され、都道府県に、傷病者の搬送・受け入れの実施に関する基準、および実施基準に基づく救急搬送や受け入れ実施にかかわる連絡調整を行う協議会(都道府県、消防機関、医療機関などで構成)を設置することとされた。
救急救命士標準テキスト10 p.265