
「消防士に必要な筋肉ってどういうものですか?ボディービルダーみたいになればいいのですか?」
こんな質問にお答えします。
結論、消防士に必要な筋肉は筋持久力プラスα判断力です!
なぜ、これらが必要なのかということをこれから解説していきます。

消防上がりで、消防(数年)→救急(標準課程)→救急救命士取得→今も継続して救急隊^^
私自身、今でも筋トレは継続しています。」
また、周りに消防隊、救助隊がいる環境なので、筋トレに注力している人達を近くで見てきました。
この記事では、
・消防士を目指している人が、消防士になるため筋肉をつけたい
・どういったことをすれば消防士の仕事に活かせる筋肉がつけられるのか
・消防士になったばかりで、これから体力面で不安がある
こういった悩みを持っている方々向けに書きます。
この記事を読むことで、
・消防士として現場に必要な筋肉の付け方を学べる
・消防士の筋トレ方法を知れる
・消防士は筋トレだけじゃない”判断力”も磨くべき理由を学べる
あなたが消防士を本気で目指して、現場で動ける職員になりたいのであれば、この記事に書いてあることを実践し続ければ、できる消防士と評価を受けるでしょう。
消防士のための筋トレを見ていきましょう。
- 【前提知識】消防士に必要な筋肉は筋持久力プラスα判断力
- 筋肥大させることは望ましい選択肢ではない理由
- 消防士の筋トレ【3選】
- 筋トレを支える栄養補給【筋トレをしている消防士の食生活】
- 消防士が現場で必要な筋肉を使うシーン
- 消防士は筋肉だけじゃダメ!【できる消防士になるには判断力を身につけよう】
- まとめ:消防士の筋トレは筋持久力【プラスαできる消防士を目指すなら判断力を身につけよう】
【前提知識】消防士に必要な筋肉は筋持久力プラスα判断力
前提知識の話を先に…
現場活動において、消防士に必要なこと。それは、
・筋持久力
・判断力
なぜ、これらが必要なのかというと、現場活動に活かせる点はここだからです。
例えば、
‹筋持久力›
≫消防士の戦場は火災現場、救助現場、救急現場。救急現場は、感染防止衣を着装しますが、それ以外の現場では空気呼吸器を背負って活動することや、防火衣を着装して活動します。
しかも、長時間です。

「現場にもよりますが、大火災になると5〜6時間帰ってこないこともあります。
体力面も当然必要ですが、ホースを長時間握る続ける筋持久力が求められるのが火災現場です。」
✓でも、筋持久力だけ鍛えたら現場は完璧!って簡単にはいきません【悲報】
筋持久力は基礎中の基礎です。
どんなに筋持久力を鍛えても現場で動ける消防士になれるわけではありません。

「もちろん筋持久力、体力があることに越したことはありませんが。」
では、何がプラスαで必要なのかというと判断力となってきます。
では、何がプラスαで必要なのかというと判断力となってきます。
判断力について先に知りたい方は、
>>消防士は筋肉だけじゃダメ!【できる消防士になるには判断力を身につけよう】へジャンプしてください!
筋肥大させることは望ましい選択肢ではない理由

「消防士はマッチョでデカいイメージだったけど、そのイメージって違うの?」

「消防士のイメージは意外にも合致していないのかもしれません。
イメージとして正しいのは「海猿」ですかね」
仲村トオルの懸垂画像↓
海猿についてはこちら↓
ですので、ムキムキでデカいイメージとは少し違うかもしれません。
もちろん、消防士といっても多種多様です。巨漢で100kg級の消防士もいれば、60kgくらいの体重しかないヒョロいと表現されてしまうような消防士もいます。
でも、平均すればある程度、身長と体重が見合った体型の人が多いように感じます。
例えば、身長170cm 体重70kg
BMIも著しくずれていない、バランスのいい動ける消防士が多いです。
なぜ、バランスのいい体型の消防士が多いのか理由を解説します。
✓現場活動で支障に
救助指導会の訓練中の風景です。
↑の消防士の姿をみていただくとわかるかもしれませんが、ガタイの大きい人はそんなに多くないことがわかるはず。
競技のためにカラダを鍛えているので、すべての消防士に当てはまることはありませんが、意外とスマートな体型の消防士が多いです!
そして、なぜその体型が多いのかといえば、
消防士は「動けるカラダ」でないといけないからなのです。
100kgを超える巨漢の消防士ばかりでは、災害現場で機敏に動き出すことはできませんよね?
✓【ちょっと残念かも】海外の消防士イメージではない日本の消防士
シカゴ・ファイアの画像↓
だからこそ、海外の消防士をイメージしていた方は、日本の消防士が全く同じというわけではありません。
そもそも、欧米人と日本人では体格差がありますし‥
とはいえ、サラリーマンをしている方々と比較すれば間違いなくカラダは大きいです。
そして、体格を支える筋肉がついています。
あくまで海外の消防士と比較しての話です!
そこは頭に入れておいてください。
消防士の筋トレ【3選】
ここからは、消防士の筋トレはどういったことをしているのか見ていきましょう。
”3選”として紹介します。
具体的には、
1つずつ解説していきます。
✓自重トレーニング
自重トレーニングは、消防士の基礎中の基礎。
なぜなら、消防士の訓練は自重トレーニングがほとんどだからです。
ダンベルを利用した訓練などほとんどありません。
あるのは、腕立て伏せ、腹筋、スクワット、懸垂、歩調訓練(※歩調訓練→皆で2列に並び走る訓練のこと)…
こういった科目のいわゆる”自重トレーニング”です。
消防学校などへ行くとエンドレスで待っています笑✨
訓練場の移動時は、歩調訓練
何か失敗したら連帯責任で腕立て伏せ
逆にいいことがあっても何故か、喜びを分かち合い腕立て伏せ
・
・
・
とにかく消防は、自重トレーニング系のことをする頻度が多いのです。
だから、自重トレーニングを積極的に取り入れ、カラダを鍛えておくと、いざ消防士として訓練をはじめても苦に感じません。
よく行っていた訓練‹サーキットトレーニング›
・腕立て伏せ30回×3
・腹筋30回×3
・ロープ引き(約20m)×2
・登はん訓練(約3m)×2 ※防火衣を着装した状態で、ロープを登ります。
↓ロープ登はんの様子
高さは3mほどなので訓練にはちょうどいいです。
✓ラン系トレーニング

「ラン系は持久走系と短距離系とに区分されます。どちらも必要な力です。」
災害現場では、とにかく重たい資器材を背負う、持つなどして長時間移動します。
そういう面では、持久力が問われます。
一方で、
救助指導会など行っている人で、ロープ登はん、はしご登はんなどをやっている人は、筋持久力ではなく瞬発的な力を求められます。
そういった意味合いでは、瞬発的な力も必要です。
割合的には、
≪持久力≫ 7:3 ≪瞬発力≫
現場に重点を置くと持久力の方が重要度の比率は高いでしょう。
よく行っていたトレーニング‹シャトルラン/20分間走/階段登り›
・シャトルラン
・20分間走
・階段登り
シャトルランは瞬発力をつけるために行いました。
もちろん歳を重ねるにつれ、しんどくて脱落者も続出します。
若い10代〜20代の消防士は積極的に体力錬成の一貫として取り組んでいました。
20分間走は防火衣やCレベルと呼ばれる化学防護服を着装して走ります。
暑熱順化をいう言葉をご存知でしょうか?
ウィキペディア
階段登りも同様で、暑さ対策と体力錬成として行います。
よく行っていたのは5階まである訓練棟の屋外階段を3往復していました。

と思われるかもしれませんが、意外と終わった後は爽快です。
事務仕事を一日中続けるよりもカラダを動かしていた方がいい。
という消防士も少なくありませんでした。
✓器具利用トレーニング
器具とはダンベルやベンチプレスなどの機械を用いたトレーニング法を指します。
カラダを大きくしたい人がメインで使用しています。
カラダを大きくしたい人がメインで使用しています。

「器具を利用するのは”筋肥大”を目的にしています。」

「えっ、さっきまで筋持久力が消防士に必要だ!って言ってませんでした?💦」

「そうです。基本はあまりにも大きいカラダを作るより、筋持久力があって体重もある程度コントロールできるようにしておくのが消防士の理想的体型です。」
ですが、
・カラダを大きくして重い重量の器材を持っていける筋肉をつける
・消防署入所時にあまりにも華奢(きゃしゃ)な体型‥
こういった消防士の問題点解決のため、ある程度の筋肉をつける目的で器具利用してトレーニングしている消防士もいます。
実際に消防署にはダンベルなどの器具があります。
各所署の規模によっては異なりますが、
・トレーニングルームが屋内に設置
・自作したトレーニング機器を署の裏に設置
私の知る消防署では全ての署に置いてありました。
実際のトレーニング器具として、
↑のものがあります。
よく行っていたトレーニング‹胸、足、腕をサーキットトレーニング›
・ベンチプレス Maxで挙げられる重量の80%の重さ×10回(3セット)
私の場合→65kg×10回(3セット)
・バーベルカール 10回挙げられる位の重量に設定×10回(3セット)
私の場合→25kg×10回(3セット)
・懸垂 自重で10回(3セット)
・スクワット 10回挙げられる位の重量に設定×10回(3セット)
※バーベルを背負ってスクワットする方法
私の場合→50kg×10回(3セット)
・デッドリフト 10回挙げられる位の重量に設定×10回(3セット)
私の場合→60kg×10回(3セット)
デッドリフトの手順
足を肩幅と腰幅の中間ぐらいに開き、床に置いたバーベルを肩幅より少し広く握る。膝を曲げ、背筋を伸ばし、正面を見る。
腰を前方に突き出すようなイメージで上体を起こしていく。この時肘や肩甲骨を体幹部に引き寄せるように引くと、広背筋や僧帽筋にも強い刺激を与えられる。
上体を床と垂直になるまで起こしたら、膝関節と股関節を曲げて上体を前傾させ、元の姿勢に戻る。
2~3を繰り返す。
ウィキペディア
ポイントは一日でやるのではなくて、「今日は胸の日」、「明日は足の日」といったようにわけてトレーニングを行っています。

「休息日を作るのは超回復を狙って筋肥大させるためです。」
超回復とは、スポーツ科学の理論において、トレーニングした部位の機能および限界に関して、トレーニング後の一定の期間、トレーニング前よりも高いパフォーマンス能力を獲得することを言う。
ウィキペディア
消防士で筋肥大をしたい人は器具を利用したトレーニングを取り入れています!
筋肥大のためには良質なタンパク質が必ず必要になってきます。
そのために有効なのが”プロテイン”です。
筋肥大に合わせて、消防士が実際に飲んでいるプロテインについても別記事で紹介しています。
筋トレを支える栄養補給【筋トレをしている消防士の食生活】
筋肉をつけるため必要なことが他にもあります。
それは、栄養補給です!
筋トレをするだけでは、単にカラダを傷つけ続けているだけです。
ですので、傷つけたカラダを治す材料をカラダに供給しなくてはいけません。
ここでは、消防士が実際にカラダ作りのために食べているものについて解説します。
✓筋トレをしている栄養バランスも考えている職員日々の食事
基本、消防士は何でも食べます。
ただし、筋トレを意識して食事を摂っている人は、
ヨーグルト(タンパク質含有量の多い栄養食品が好んで食べている傾向)
肉料理をメイン(割引シールの貼られたステーキ肉を買ってくる職員も)
↑のような人が多いです。
✓プロテインも欠かさない
プロテインも欠かせません。筋トレをしていると必要タンパク質量が増えてきます。
だからこそ筋トレをして、プロテイン補給することが重要になってきます。

「例え、ムキムキな消防士でなくても、日常から飲んでいる職員は多いです。
その理由は、先輩消防士からの筋トレや食育についての教育が身を結んでいるのかもしれないですね!」
消防士が現場で必要な筋肉を使うシーン

「消防士はどういった場面で筋肉を使うのでしょうか?」
実際の現場活動中で筋肉を使うシーンを挙げてみました。
✓空気呼吸器(着装)
✓救助資器材(の搬送)
✓ホース(曳行)
✓三連はしご
↑の資器材は重量もあって、かなりの労力を必要とします。
重量はどれくらいなのかというと、
空気呼吸器
→約10kg
救助資器材(例:スプレッダー)
→22kg
ホース
→口径50mm:5kg 口径65mm:8kg (水を張った状態だと口径50mm:40kg、口径65mm:65kg)
三連はしご
→30kg

「重たい装備をして動くのって、正直カラダはキツいですよ。」
消防士の筋肉を使うシーンに関連して、
消防士の筋肉を使うシーンに関連して、
消防士がどういった仕事をしているのか記事にしています。
消防士は筋肉だけじゃダメ!【できる消防士になるには判断力を身につけよう】
結論、消防士は筋肉だけつけていればいいわけではありません。
もう1つ大切なことを話します。
それが”判断力”です。
‹判断力›
判断力とは、「1 物事を正しく認識し、評価する能力。それは、可能性、能力の問題でもあるといわれる。」
ウィキペディア
消防現場でいうと、
・現場指揮隊長の命を受けて、自隊をどのように動かすか考える
・隊員として現場へ行ったとしても、隊長はどのように動いてほしいと考えているのか、判断し行動する
こういう時にです。
もっと具体例を挙げて話すと、
隊長の指示で、
「酸素マスク準備しておいて!」
と指示があった時、
「この傷病者はSPO2値が80%で著しく低下している。高濃度だな。」
と判断して準備するなど現場では体力や筋力だけではない”判断力”が必要なことは覚えておきましょう。
できる消防士の特徴は「判断力があること」です。
隊長は瞬時の判断で行動決定していかなければいけません
隊員も同様で隊長の指示に即対応できる判断力は不可欠
だからこそ、身につけなければならない消防士に欠かせないスキルであることを覚えておきましょう。
まとめ:消防士の筋トレは筋持久力【プラスαできる消防士を目指すなら判断力を身につけよう】
消防士の筋トレ事情について解説してきました。
消防士に必要な筋肉は筋持久力がメインです。
ただし、重たい資器材を持てるようカラダを大きくする必要もあります。
なので、筋肥大も必要です。
そして、消防士の筋トレは単純につければ現場活動で活躍できるわけではなく、そこに判断力も必要になってきます。
ただ筋肉をつけるだけではなく、筋肉をつける理由を明確にしてトレーニングをやっている‥
これが消防士の筋トレ事情のリアルではないでしょうか!
今回は以上です。
‹メモ›
消防士は、自重トレーニングメイン。そこをおさえれば、消防で行われる訓練は難なくこなせる‼